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2024.04.19

EC売上アップ戦略の作り方 - No.1

<目次>

1.導入

2.EC売り上げ改善の勘違い

3.どのように改善していくか

4.まずは現状のECサイトの現状状況を解析してみよう

5.ECの目標を立てよう

6.全体の大きな戦略を立てる

 

1.導入

コロナの影響で外出自粛要請(緊急事態宣言)が政府や各都道府県等で発令された。東京が一番早く4月7日から、全国の都道府県に広げられたのは4月16日のことである。多くの人が平日、週末を問わず自宅で過ごすことを余儀なくされた。多くの業態で店舗を閉める、もしくは営業の短縮をする必要があり店舗などでの販売は大きな岐路を迎えることとなった。

 

日本は中国やシンガポールなどアジアのデジタル諸国よりも遅れており、多くの企業でECなどの整備ができていない状況下での戦いを余儀無くされた。コロナの影響があるにせよ、EC、そしてオンラインでのビジネスの重要性を多くの経営者が痛感したのではないだろうか。

 

筆者はもともとWEB制作会社からデジタルエージェンシー、事業のPRまで色々経験をしてきた。筆者は東京で仕事をしているが、東京の最先端の企業ですらまともなオンライン(EC)対策を取れていない企業が多い。地方企業は言わずもがなである。Amazonや楽天、Yahooショッピングなどのオンラインモール離れも顕著で、自社ECでいかに売るか。メーカーにしてみれば昨今のDtoCの潮流によりダイレクトにカスタマーに売りたいとも考えている。

 

上記がなぜ起こるかというと、プラットフォーマーによる手数料が高騰してきたという問題と、ライフスタイルの変化による多種多様な製品に合わせた機能やデザインの物足りなさ、ブランディングのしにくさ等からオンラインモール離れが起こってきている。DtoCの流れは商品を売って、その後の顧客データを分析し自社製品に活かすという流れがそのような潮流を生んでいる。プラットフォーマーが間に入るのではなく、顧客と直接対話をして顧客エンゲージメントを高めていきたいという意向がある。

 

そのような流れからの最近ニーズが高い、自社ECの売り上げ改善方法に関して解説していこうと考えている。広告代理店時代は多くのキャンペーン(広告)を企画したが、最終的なクライアントの求めているものは売り上げがどうやったら上がるかというところである。大事なのは「店舗であろうとオンラインであろうと売り上げを上げたいのである。」

 

多くのデジタル系の会社(ECコンサルタント会社やWEB制作会社/デジタルマーケティング会社)で感じるのは、クライアントを動かさないと本当のオンラインの売り上げアップはできないという事実を知らず、クライアントに言われたままに制作や施策を実施し、結果売り上げが上がらないのは商品のせいにし、クライアントの出稿広告不足だなどと言いフィーだけを稼ぐ会社が多い。今担当している制作会社なり広告代理店で本当に満足しているクライアント企業はほとんど見受けられない。また、自分達、事業会社全体が動かないとオンラインの売り上げアップができない(EC部署だけでなく、PR部署や販促部署も絡める)ということを本気で考えている事業会社も少ない。

 

今回記載するEC売り上げ改善の内容は自社ECの売り上げをなんとか上げたい事業会社のEC担当(マーケター)、広告代理店やデジタルエージェンシーなど事業会社のお手伝いをしているデジタル担当者、企業でPRなどを担当しているPR部署の方。次の時代はオンラインだとなんとしてでもECの売り上げ比率を上げるという意思の強い経営者の方。そのような方に読んでいただき、是非ECの売り上げを上げて欲しいと考えている。

 

今回かつてないほどの経済危機をもたらしたコロナのような菌が流行ろうとも、地震や水害という天災のようなものが起ころうとも、改善されピカピカになった自社のECやオンライン戦略が経営を救ってくれることは間違いなくあると思われる。また、ECの改善の方法がわからない他社よりも抜きんでて強い経営体質になり、ECが強い武器として経営の柱になるはずである。

 

多種多様な業界はあるが、筆者は宿泊施設のようなものから家具、薬品に至るまで多くの業界でECの改善を経験している。必ず自分の業界に活かせる点があるはずである。一部汎用的な改善方法になるが、自社に当てはめて考えていただきたい。執筆するにあたり、多くの経験を与えてくれた企業と環境に感謝をしている。

また、アフターコロナの世界がよりオンラインが生活の中心になり平和で幸せな社会になっていることを願っている。

 

 

2.EC売り上げ改善の勘違い

 

多くのEC部署担当者、コンサルタントが勘違いしていることをまずは書いていこうと思う。

 

EC部署やコンサルタントは主にデジタルの世界で仕事をし、デジタル施策を行ってきた人が多く担当している。そのような状況によりEC売り上げ改善はオンラインの改善(ECのUI,UXだけでなく、SNSやデジタル広告など)で完結すると考えている。

→こちらは間違いである。ECの売り上げを改善するにはオンラインでの改善事項だけではなく、オフラインも重要になってくる。オンラインだけの視野の方はもっと広げて考えて欲しい。具体的な内容に関しては後述する。

 

 

ECの売り上げが上がらない理由はECの作り(UI/UX)の問題が多く、商品にニーズがないから売れないと考えている。

→こちらも間違いである。いくら綺麗なサイトや人気のある商品でも売れないものは売れないし、売れるものは売れる。サイトの綺麗さや商品の人気の高さだけでは、ECの売り上げが上がる原因には必ずなりえないのだ。

  • 一部相関する部分はあるが。

 

ECの売り上げが上がらない理由はEC部署の責任によるところであり、オンライン以外を担当している部署は責任の範疇外だ。

→こちらも多くある間違いであり、考え方を改めないといけない点だ。

ECの売り上げを上げるには、営業の部署だけでなくPR部署やカスタマーセンターに至るまで色々な部署を巻き込まなくてはいけない。自分が担当している部署だけ、自分が向き合っているクライアントの担当者だけではなく、多くの部署を動かし巻き込むことで売り上げを上げる必要があるということを念頭に置いていただきたい。

 

ECの作りや広告の仕組みが完成されれば売り上げは自動的に上がっていくはずだ。

→こちらも間違いである。ECの売り上げ改善はもっと泥臭く、昔の営業のように数値を追っていく必要があることを念頭に置く必要がある。こちらも後述していくが、数値の動きを大きく捉え目標に対して施策をうっていくなどかなり根性の必要な部分が存在する。簡単に自動的に売り上げ改善が図れるというコンサルタントや、デジタルエージェンシーの話は信用しない方がいい。長年色々なECの改善を担当してきて、そんな単純なことではないことは肌身で感じ経験している。

 

色々な考え方の間違いを記載したが、ECの売り上げ改善の王道というものは存在する。それを実行していくことが今回の売り上げ改善のテーマで考えている。これを実施すれば確実に売り上げが上がるということではなく、何種類も改善方法に網をかけ、その改善方法のうちの20-30%がうまく当たることでECの売り上げ改善をはかるというような方法をとっていく。

 

A,B,C,D,E,F,Gという改善方法を試し、CとFが売り上げ改善に寄与するというような網をはり、当てにいく方法を取ることで全体として確実な売り上げ改善に繋がるという形になる。

 

3.どのように改善していくか

 

EC担当や、コンサルティング会社、デジタルエージェンシーでよくありがちなのは木をみて森をみずというパターンだ。

 

SEOに特化したら売り上げが上がるのではないか。

もっとSNSを戦略的に投稿していくことでECへ誘導できるのではないか。

ECのUI/UXがターゲットにとって使いにくいので再検討した方がいいのではないか。

 

読者のみなさんもよく聞き慣れた言葉ではないだろうか。

上記に挙げたものは、間違いではないのだが木の部分、もっと言えば枝葉の部分にフォーカスしすぎている。

 

ECの改善をする場合、最初はもっと大きな視点で見なくてはいけない。

ECが事業全体のどの部分に当たるのか。店舗で販売しているのであれば直営店舗や卸売に卸して百貨店で販売もされており、ECは売り上げの一部であるなどまずは、木を見ずに森を見ないといけない。

 

ECの売り上げを改善する為に、納品している関係各所がキーになる場合もありうるのだ。まずは、ECは事業の中のどのような部分を担っているのかを把握して欲しい。既に自社の事業を多くわかっているつもりの方も整理して欲しい。

 

次に、もっと違う視点からECの売り上げ改善を考えてみる。ECの売り上げ改善は何もECを担当している部署だけの仕事ではないのだ。企業の営業部署やPR部署、ましてや経営者までが改善の要素となりキーとなっている。自社のもしくはクライアントの部署の体制を把握して欲しい。

 

具体的な例をあげると、PRの部署に何かリリースをメディアに出す場合、「必ず最初にECサイトのURLを紹介して欲しい。」「EC向けのリリースをPR部署と一緒に考えたい」など例えば考えられる。

世の中に出たリリースがメディアに掲載され、ECサイトへの流入につながるパターンはおうおうにして存在する。商品の販売の第一をECサイトにし、PRイベントを行うことも十分に考えられる。

 

営業部署の方の例でいうと、営業先の企業は事業が関連する事業が多い。

営業の提案資料などにECへの誘導QRを必ず入れてもらうなどすると多少ではあるが流入が獲得できる。関連する会社の商品は相手先の人も最優先で購入することも多々あるだろう。上記の話をすると1人,2人 ECへの集客が増えたところで売り上げもそんなに変わらないだろうという意見をする人もいるが、例えば10万円,20万円するような商品ももちろんECで売ることもありえる。もしくは少額であろうとも、EC部署にとっては本当にありがたかったりする。

 

このような話を聞いて凄く泥臭いなと感じる読者もいると思う。

 

その通りで、ECの売り上げ改善は非常に泥臭い部分が多くその泥臭さが最終的な売り上げにつながることを肝に命じておかなくてはいけない。先ほど経営者という話もしたが、なぜ経営者?という人もいるだろう。

 

経営者はよくメディアに出演する機会やセミナー等で登壇する機会が存在するが「我が社の商品はECで販売されていて・・・」「ECの販売比率が高いのだ。など話をするだけで、アクセスに繋がることは容易にある。

 

この章で話をしたかった点は2つ。まず、最初は森を見て欲しい。

自社やクライアント企業の事業におけるECの立ち位置に関して把握して欲しい。2つ目に自社やクライアントの体制を把握し、ECの売り上げ改善に繋がる部署をチェックしておいて欲しい。他のEC売り上げ改善の参考図書に書かれていないような内容になるが、必ず上記が後々の売り上げ改善のキーになることは間違いないことである。

 

4.まずは現状のECサイトの現状の状況を解析してみよう

ECサイトの売り上げを改善するためにはまずは過去・現在のデータを分析する必要がある。未来の売り上げを作るために、売り上げとサイト集客の相関性を確認する必要がある。

 

4.1売り上げ・サイトセッション数・コンバージョン率・1回あたりの購入単価を把握する

大きな公式として、「①売り上げ = ②サイトセッション数×③コンバージョン率×④購入単価」という公式が成り立つ。

Google analyticsを利用して解析を行う。

 

①売り上げはGoogle analyticsの「コンバージョン>eコマース>概要」の収益の箇所で金額が確認できる。Google analyticsでeコマースの設定がされていなかったという方は、ECの管理画面側での数値でも違うシステムからの数値でも良いので、調べて欲しい。今後必ず、Google analyticsのeコマースのところで調査をしていくので早めに設定していただきたい。下記の図からは¥1,955,410と読み解くことができる。

 

Google analytics EC売上確認

 

②サイトセッション数はGoogle analyticsの「集客>概要」のセッションを確認下記の図からは12,961セッションということが読み解ける。

 

Google analytics EC集客別

 

③コンバージョン率はGoogle analyticsの「コンバージョン>eコマース>概要」のeコマースのコンバージョン率というところを確認して欲しい。下記の図からは2.57%ということが読み解ける。

 

Google analytics ECコンバージョン率

 

 

④購入単価はGoogle analyticsの「コンバージョン>eコマース>概要」の平均注文額を確認して欲しい。下記の図からは¥5872と読み解ける。

 

Google analytics EC平均購入単価

 

では一度公式に当てはめてみよう。先ほどの公式を思い出し、「①売り上げ = ②サイトセッション数×③コンバージョン率×④購入単価」ということなので、

上記の図の例からは「¥1,955,410 = 12,961×0.02.57×¥5872」当てはめて計算してみると若干誤差はあるがほぼ\1,955,410に近い形で計算できただろうか。上記は1ヶ月分の相関になるが、他の月も全て洗い出し、EXCELなどに落とし込んで欲しい。相関を出したいため、最低でも4-5ヶ月以上を落とし込んで欲しい。日数が少ないと相関の信ぴょう性が薄くなる恐れがあるからだ。

 

 

※表の数値は参考としての数値

 

表に4-5ヶ月の数値を落とし込んだら次に、平均購入金額及び、平均コンバージョン率を計算して欲しい。

 

上記の例で言うと、平均購入金額は¥5767 平均コンバージョン率は2.55%という数値になっている。

なぜ平均購入金額と平均コンバージョン率を計算すると思うと、両方ともに改善を入れない限りはブレない数値だからだ。

 

4.2更に詳細な集客数を記載し、把握する。

4.1で把握した、②のサイトセッション数を詳細に把握していく。なぜ詳細にサイトセッション数を把握するかというと、目標売り上げに到達するためにどのくらいのセッション数が必要かをどのチャンネルで集めていくかの基準となる。イメージできるように各月の数値を入れた表を掲載する。

内容に関しては、Google Analyticsの「集客>概要」のところから各チャンネルの数値をみて、表に入れていく。

 

 

 

4.3各集客の割合を計算する。

目標のセッションから目標の詳細な集客目標数を置いていくために、目標セッション数における 検索、オフィシャルサイト、リスティング広告、オフライン、ソーシャル、ディスプレイ、メルマガの割合を計算していく。それぞれ、の割合の計算方法は、上記の例だと10月- 2月の数値を足し上げ、(各集客チャネルの10月- 2月の数値を足し上げ)/ 合計Session数で割合を計算していく。

 

 

 

5.ECの目標を立てよう

過去がわかったところで先の目標を立てていく。目標も大雑把なだけではなく詳細に落とさないとPDCAが回せなくなるので、必ず詳細な目標を立てることに注意して進めて欲しい。

 

Google analytics EC KPIの設定

 

  • 売上をどのくらいあげる必要があるのか、表で言うと3月以降の売上をまずは記入する。※無理な売上目標を立てすぎないことに注意して欲しい
  • 次に、4で計算した平均購入金額(¥5767)平均コンバージョン率(2.55%)を参考に平均購入金額、平均コンバージョン率を記入する。※こちらも無理な目標を入れないように注意して欲しい。
  • ①と②で入れた数値をもとに、必要なSessionを記入していく。
  • ③で記入したSessionから3で計算した割合を記載したSessionにかけて記載していく。

 

これで詳細な数値目標を入れることができるようになった。

この目標に対して、1週間ごとに部署メンバーもしくはクライアントと数値の進捗を追ってPDCAを回していく。なぜ1週間というと、1週間より短ければ改善をする時間が充分に取れないからだ。1週間より長いと最後の売り上げに到達できないという場合に間に合わない可能性が出てくる。1週間あれば最後追い込みで数値目標に到達することができる。

 

何度も言うが、ECは粘り(しつこさ)と各集客チャンネルの積み上げが重要である。

 

6 全体の戦略を立てよう

5.で立てた目標で重要なところはECへの集客部分のセッション数②コンバージョン率だ。売り上げを上げるためには大きく①と②を両方改善していく必要がある。自分が改善しているところがどこか迷ったら①の集客なのか②のコンバージョンなのかに立ち返って欲しい。

 

また、上記の大きな流れを表した図を下記に記載する。

 

EC戦略全体像

 

①の集客部分はGAの集客項目を参考に書き出して欲しい。上記の例ではショップ・協力店等がGAの集客項目でいうオフライン、OFFICIAL SITE/メディアはリファラー、SNSはそのままSNS、広告はリスティング広告等がある。検索もそのまま検索、メルマガ/LINEもMailmagazineという項目に当たる。LINEはSNSでは?という方がいるが、TimeLineはSNS、トークはMailmagazineに分類される。次の章で各項目に対して詳細に記載していくが、この表を必ず頭に入れておいて欲しい。

 

大切なのはサイトへの集客部分である流入を増やすのと商品が最後にカートに入って購入されるコンバージョン率を上げるという2点を同時に改善していくことでECサイトの売り上げは改善されていく。

コンバージョンだけ改善されても流入がないと売り上げは増えていかない。集客がうまくいってもコンバージョン率が悪ければ売り上げが増えていかない。

両方の車輪がうまく回ることで全体の売り上げが上がることを念頭に置いて欲しい。

 

続きは別のコラムにて記載します。

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